ヘルペスの薬|抗ウイルス薬の作用と処方薬・市販薬の選び方は?

ヘルペスの薬について

ヘルペスの薬は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬です。早めに服用すれば、病変を最小限に押さえて治療期間を縮める事ができます。

病院で処方される薬として、ゾビラックス・バルトレックス・ファムビルが挙げられます。いずれも同等の効果を持つ抗ウイルス薬ですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。

ヘルペスの市販薬は全て塗り薬になります。市販薬が使えるのは症状の軽い再発性の口唇ヘルペスのみです。初発の口唇ヘルペスや性器ヘルペスの治療には使えません。
市販薬のヘルペスに対する治療効果自体はどれも変わりませんので、薬のタイプや値段を考慮し、使いやすいものを選びましょう。

抗ウイルス薬だけがヘルペスの薬だが…

抗ウイルス薬は、性器・口唇ヘルペスを治療できる唯一のお薬です。病院で使われる処方薬も薬局で買える市販薬も、ヘルペスの薬は全て抗ウイルス薬になります。

抗ウイルス薬の効果は、あくまでヘルペスの症状を"抑える"というものです。
神経節の奥に潜んでいるウイルスを死滅させる事はできないので、ヘルペスの根治は不可能です。再発の度に抗ウイルス薬を使い、ヘルペスを抑え続けなくてはなりません。

85%以上の高い有効率

抗ウイルス薬を使う事で、発症から治癒までの期間を縮める事ができます。そのヘルペス抑制効果は非常に高く、臨床試験では85%以上の高い有効率が示されました。

1985~1987年に札幌の診療施設で、性器ヘルペス患者37名を対象に臨床データが取られたのです。発病から患部表面のウイルス消失までの期間と、発病から皮疹(水ぶくれやただれ)が消失するまでの期間がそれぞれ観測され、総合成績によって、著効・有効・無効が判定されました。

37例のうち30例に対して抗ウイルス薬による治療を行った結果、30例中26例(86.7%)に有効以上の効果が見られたのです。(著効3例、有効23例、無効4例)
無投与であった7例は全て無効であった事から、抗ウイルス薬の治療効果が伺えます。

参考:京都大学 性器ヘルペスの臨床的検討とアシクロビル錠による治療成績 p.391より

ヘルペスウイルスの増殖をストップさせる作用を持つ

抗ウイルス薬は、ヘルペスウイルスの増殖を止める事によって、病変を最小限に留めます。

ヘルペスは、感染している細胞内でウイルスの増殖を繰り返し、細胞を飛び出して周りの細胞に再感染をする事で病変を拡げていきます。ウイルスが増殖するには、人間の細胞の力を借りてDNAを複製する必要があります。

代表的な抗ウイルス薬の成分である「アシクロビル」には、ウイルスのDNAの複製を阻害する作用があります。DNAの複製ができなくなったウイルスは増殖ができないので、その時点で病変の進行を止める事が出来るのです。

因みに、抗ウイルス薬が人の細胞に危害を加える事はありません。
アシクロビルはヘルペスウイルスが感染している細胞に取り込まれる事で作用を発揮します。つまり、感染されていない正常細胞に入り込んでも何も起きないので、人体に害はありません。また、正常細胞と比べて、感染した細胞の方がよりアシクロビルを取り込みやすいという性質もあるので安全です。

参考:「医療を変えた新薬- 2.アシクロビル」白神 誠・白神芳世 より

抗ウイルス薬は素早い服用が何より大事

抗ウイルス薬は、発症してから服用するまでの期間が短ければ短いほど、高い効果を発揮します。

欧米で行われた口唇ヘルペス患者208人を対象に行われた臨床試験でも、薬を使い始めるタイミングによる効果の差が見られました。

口唇病変発症0~8時間に治療をはじめた場合、抗ウイルス効果が見られ、9~25時間後ではプラシーボ群との問で差がなく

引用:単純ヘルペスウイルス感染3症例に対するアシクロビル軟膏の使用経験より

プラシーボ群とは、効果の無い偽薬が使われた被験者の事です。つまり、病変発症後から8時間以内に薬を使った被験者には、抗ウイルス効果が見られました。
しかし、発症後から9~25時間の間に薬を使い始めた被験者では、偽薬が使われた被験者と効果に差が見られなかったという事です。

上述したように、抗ウイルス薬はヘルペスウイルスの増殖を止める薬です。まだウイルスが増殖しきっていない、発症初期のうちに止めることが出来れば、病変の形成を最小限に抑える事ができます。
ヘルペスの治療において、早期治療をする事によって病変を最小限に抑える事こそが最も重要なのです。

というのも、抗ウイルス薬には、ウイルスを抑える効果はあっても、病変を治癒する効果はありません。水疱(水ぶくれ)などの病変は、免疫反応によって起きています。つまり、ウイルスそのものが病変を作っているのではなく、ウイルスを排除しようと免疫機能が過剰に働いた結果として、水疱が発生してしまうのです。抗ウイルス薬には、このような免疫反応によって発生した病変の治癒を早める効果はありません。

以上の事から、抗ウイルス薬が効くのはウイルスが増殖を始めて最初の3日ぐらいであると言われています。ウイルスが増殖を始めてから病変が出現するまでの期間がちょうど3日ほどなので、病変が出始めた初日のうちに抗ウイルス薬を使う事が必要だと考えられます。

参考:性器ヘルペス再発抑制療法の現状と問題点|富山大学医学部ウイルス学より

病院で処方される抗ウイルス薬の違い

病院で処方される3種のお薬には、効果自体に差はありませんが、それぞれメリット・デメリットがあります。

現在、ヘルペスの治療で処方される内服薬が、ゾビラックス、バルトレックス、ファムビルの3種類、またはそのジェネリックです。それぞれ配合されている成分は違いますが、ヘルペスに対する抗ウイルス効果の差はありません。違うのは値段と服用回数、錠剤の大きさです。

最も値段が安いのがゾビラックスですが、服用回数がやたらと多いというデメリットを持ちます。
1日の服用回数が最も少なくなりますが、錠剤のサイズが大きいというデメリットを持つのがバルトレックスです。
錠剤のサイズが小さく、服用回数も標準的になりますが、値段が最も高いのがファムビルになります。

薬品名 薬価 服用回数 サイズ
ゾビラックス 221.8円/1錠 5回/1日 普通
バルトレックス 405.6円/1錠 2回/1日 大きめ
ファムビル 489.9円/1錠 3回/1日 普通

ゾビラックス

ゾビラックスは、最も値段が安くなりますが、1日の服用回数の多いお薬です。
ヘルペス発症時の服用回数は1日5回なので、他の薬と比べてもかなり多くなります。内服薬だけでなく、軟膏や点滴薬もあります。
主成分は「アシクロビル」です。ヘルペスの薬としては、最も古くから使われている抗ウイルス薬になります。

薬価は、1錠につき221.8円です。ジェネリックでは1錠につき42.4円の薬からあるので、一番安くヘルペス治療が行えます。ゾビラックスについて詳しくはこちら

参考:ゾビラックス錠200 添付文書

バルトレックス

バルトレックスは、最も少ない服用回数でヘルペスの治療が行えるお薬です。
主成分は「塩酸バラシクロビル」です。塩酸バラシクロビルは服用後、肝臓で代謝されるとアシクロビルに変換されます。最終的にアシクロビルになるので、ゾビラックスと全く同じ効果・効能になります。
ただし、アシクロビルよりも吸収効率が向上されており、ヘルペス発症時の服用回数は1日2回で済むという点はメリットです。

薬価は、1錠につき405.6円です。ジェネリックでは1錠につき188.8円の薬からあります。また、性器ヘルペスの再発抑制療法が保険適用で行える唯一の薬であり、その場合では1日1錠の服用になります。バルトレックスについて詳しくはこちら

参考:バルトレックス錠500 添付文書

ファムビル

ファムビルはバルトレックスと比較して、薬剤のサイズが小さくて飲みやすいお薬です。
主成分には「ファムシクロビル」が使われています。国内で行われた塩酸バラシクロビル(バルトレックス)との効果を比較した臨床試験では、おおむね相似した結果となり、同等の効果を持つ事が証明されています。

ファムビルは錠剤のサイズが、直径10.1m、厚さ4.6mmと比較的小さめに作られています。バルトレックスのサイズが大きめ(長径:18.5mm、厚さ6.1mm)なので、大きい錠剤が苦手だという人にファムビルは向いています。

ヘルペス発症時の服用回数は1日3回と標準的です。
薬価は、1錠につき489.9円であり、保険適用されているジェネリックもないので、費用は最も高くなります。ファムビルについて詳しくはこちら

参考:ファムビル錠250mg 添付文書

市販薬が使えるのは口唇ヘルペスの再発患者のみ

ヘルペスの市販薬は全て塗り薬です。市販薬の使用が許されているのは、口唇ヘルペスの再発患者のみになります。
病変局所にしか働かない塗り薬では、病院で処方される内服薬と比べて効果が劣ります。症状が重い初発の口唇ヘルペスや再発が活発である性器ヘルペスの治療には、内服薬の使用が必要なのです。

ヘルペスの市販薬は、薬剤師が常駐している薬局やドラッグストアで販売されています。購入の際に薬剤師からの問診があり、適切だと判断された場合にのみ買う事ができます。
過去に医師より口唇ヘルペスの診断・治療を受けたことが無い場合には、購入できない事もあるので注意が必要です。

ヘルペスの市販薬ってどれがいい?

ヘルペス市販薬は症状を抑える効果自体に差はないので、使いやすさとコストで選びましょう。違いとしては、配合されている主成分や添加物、1日の塗布回数、薬の形態(クリームか軟膏か)値段が挙げられます。

主成分としては、アシクロビルかビダラビンのどちらかになります。この二つの成分の効果の差を示すデータはありませんので、優劣はつけられません。

クリームか軟膏に関しては、使いやすい方を選びましょう。基本的にクリームは水分が含まれているため、ベタつきにくく、塗ったあとも目立ちにくくなります。軟膏はベタつきますが、刺激が少ないため敏感肌の人に向いています。

アクチビア軟膏

主成分…1g中にアシクロビル50mg
タイプ…軟膏
使い方…1日3~5回患部に塗布
内容量…2g
税込価格…1.188円(メーカー希望小売価格)

アクチビア軟膏は、グラクソ・スミスクライン株式会社から販売されている軟膏タイプのお薬です。
添加物として、マクロゴールという成分が配合されています。マクロゴールは軟膏、クリームなどの基剤として医薬品、化粧品に多量に使用されている成分です。吸湿性があり、皮膚を乾燥させる効果があります。

参考:アクチビア軟膏 説明文書

ヘルペシアクリーム

主成分…1g中にアシクロビル50mg
タイプ…クリーム
使い方…1日3~5回患部に塗布
内容量…2g
税込価格…1.188円(メーカー希望小売価格)

ヘルペシアクリームは、大正製薬から販売されているクリームタイプのお薬です。主成分と使い方、内容量、価格がアクチビア軟膏と同じです。(違うのは軟膏とクリームという点と、添加物だけ)

添加物として、グリセリン、ジメチルポリシロキサン、ステアリルアルコール、プロピレングリコール、流動パラフィン、l-メントール、ステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、パラベン、クエン酸、クエン酸Naが配合されています。
これらは外用薬全般に配合される事の多い、油脂やアルコール、香料などです。アレルギー体質の方はこちらを参照しましょう。参照:医薬品原料一覧|カネダ株式会社

参考:ヘルペシアクリーム 説明文書

アラセナS

主成分…1g中にビダラビン30mg
タイプ…クリーム&軟膏
使い方…1日1~4回患部に塗布
内容量…2g
税込価格…1.458円(メーカー希望小売価格)

アラセナSは、佐藤製薬から販売されているお薬です。クリームタイプと軟膏タイプがあります。上記2薬品と違い、主成分は『ビダラビン』です。ビダラビンとアシクロビルとの効果の優劣を示すデータはありません。よってヘルペス抑制効果について、どちらが優れているというわけではなく、同等の効果があるものと考えます。

添加物として、ワセリンと流動パラフィンが配合されています。
比較的価格が高めですが、1日の塗布回数が少ないので、場合によっては、上記の2薬品よりもお得に使えます。

参考:アラセナS 説明文書

自分に合った薬を常備しておくのが効果的

ヘルペスの治療に使われているのは、ウイルスの増殖を阻害する作用のある抗ウイルス薬です。その高い効果は臨床データによって示されています。ヘルペスが発症してから出来るだけ早いタイミングで服用を開始する事でより効果的に作用します。
ヘルペスは一度感染してしまうと、完治する事の無い病気です。再発に備えて、処方薬または市販薬を常備しておく事で、すぐに治療が行えます。

病院で処方される抗ウイルス薬の中でも、価格が最も安いのはゾビラックスです。1日の服用回数が少なく、再発抑制療法が保険適用で行えるのがバルトレックスになります。比較的薬剤が小さくて、飲みやすいのがファムビルです。

ヘルペスの市販薬は、口唇ヘルペスの再発患者のみ使えます。
目立ちにくいクリームタイプの薬がいい人は、ヘルペシアクリームかアラセナSクリーム、刺激の少ない軟膏タイプの薬がいい人は、アクチビア軟膏かアラセナS軟膏を選びましょう。市販薬の効果自体に違いはないので、使いやすさとコストで選びましょう。



ヘルペスメニュー

トップに戻る